1'35" 目、7/8拍子の6、7拍目のドラム。
漫然と聴くと「8分音符が2つ連続してるだけ」みたいだけど、ここは、
6拍目がスネアのフラム、
7拍目がスネア+オープン・ハイハット、
つまり2つの拍とも両手同時打ち*1なので、片手が8分音符1個分の長さのうちにスネアからハイハットに移動してる。
このことに気付くと、途端に緊迫感をもって聴こえだす。緊迫度は16分と同等。
ある下書きのストックを思い出した。もう何年前のものとも知れない。
以下。
打込みでありつつ、実演に置き換えて演奏不可能なことはやらない、という癖があって、これは良いことなのか悪いことなのか。
一方では、生を想定せず自由にやってよい、もちろん。
他方では、「演奏可能」という制約の中でやる面白さもある。「私は打込マーだけどこの楽器の奏法知ってます」アピールをしたい煩悩もある。
ただ、生演奏のシミュレイションとしての打込み、演奏不可能なことはやらない打込みといっても、私個人の反省点として、「忖度が過ぎた」「取り越し苦労だった」というのがある。
ドラムについて、「右手が16分音符1個分の長さのうちにハイハットからフロアタムに移動できるはずがない」として却下したアレンジとか。「手2本足2本で同時に5個の音を鳴らせるはずがない」とか。
とある本当に上手いプログレのドラマーの方のライヴを高円寺ペンギンハウスで拝見した時、以上のようなことが全くの杞憂であることを実演によって見せつけられたのだった。
以上。
ところで先の Genesis 曲の当該箇所の場合、8分1個の長さのうちに移動してるのは、右手なのか、左手なのか。
これも私の囚われだったんだけど、「アクセントを付されたオープン・ハイハットは利き手で叩くもの」という先入観があったりもした。そこにこだわる理由は何も無い、とこれもそのドラマー氏を拝見して悟った。
(ちなみに Phil Collins は左利き。)
↑に引いた下書きには「ふたつの忖度」というタイトルが付いてて、その書きかけだった。もうひとつの忖度として何を書こうとしてたのか思い出せない。
'Back In NYC' は初めから好きな曲というわけではなかった。'Looking For Someone' や 'Dancing With The Moonlit Knight' のような、和声が柔軟で、展開が有機的な曲こそ Genesis、と思ってたので。いま聴くとひたすらかっこいい。
Gabriel の 1st. ソロの頃のブートレグ、たぶん1977年イスラエルでのライヴの、アンコールの1曲がこれだった。これを「過去を引き摺ってる」と非難しがちな私だったが、なんしろソロ・デビュー間が無くて、アンコールで取り上げる過去曲といえば Genesis 曲しか無かったわけで。アンコールもう1曲はオールディーズのカヴァーだった。
1st. リリース時のツアーの音源はいくつかリリースされてますね。どれもアンコールは 'Back In NYC'。
*1:「フラムは同時じゃないだろ」とセルフでツッコむ。