この曲は精緻な「工芸作品」、指物か、寄せ木細工の仲間だ。私の National Health は、Dave Stewart 作曲のこの1曲に尽きる。
曲全体としてはコンディミに拠ってる場面が多い中で、主題提示部が「浮いてる」。
すなわち、0'14" からダイアトニックになって、主題の提示は 0'33"。
ずっこけちゃうくらいあっけらかんと判りやすいメロ。それは、①冒頭「dis」= H の「ミ」の同じ高さの音が3つ、最も単純な4分音符(最初の2つはスタカーティシモ)の符割で、「ミ、ミ、ミー」と連続すること、②完全にペンタトニックに拠ってること、③これをギターの単音で、(Phil Miller 固有ではあっても)素直な音色で、やってること、による。メロのモードは、
その方は音楽について、録音物について、オーディオについて、どマイナーどニッチに至るまで凡そご存じないことが無いような方で、直近では1966年のフリー・ジャズ界におけるヤキ・リーベツァイトとマニ・ノイマイヤーについて、あるいはチャールズ・ヘイワード参加盤のあれこれについて、ツイートなさってたような方。その方が「初心を取り戻す」ためとお挙げになってたのは Alternative TV "The Image Has Cracked" のアナログ盤だった。
そもそも最初に Magical Power Mako を知ったのは、KBS 京都の音楽番組「Pops In Picture」で。おそらく1976年、中学生の時、Magical Power Mako 特集の回があり、本人とのインタヴューに、今まで思いもよらなかった世界を垣間見た。たんに音楽制作の現場として斬新というだけでなく、なにか俗世間から隔絶したコミュニティが音楽を産む前提としてあるみたいだった(視る側の私の妄想込みでの話だけど)。速攻、当時の最新盤、2nd. アルバム "Super Record" を入手した。
その後情報に接することが無く*1、ようやく1981年頃に、ある TV コマーシャルの音楽がプログレで、耳を惹いた。クレディットが出て「音楽:マジカル・パワー・マコ」と。シンセを多用した近未来的なサウンドと、曲調の荘厳さに、さすが!となった。
ややあって FM で新譜が紹介された。纏まった曲数が掛かった。全曲掛かったのかも知れない。とにかく1曲目が件の曲だった。アルペジオ的なパートに、ブラス系のファンファーレ的なパートが乗っかってくるあたり*2。ただ、CM で聴いてたのと印象が違った気もして、全く同じヴァージョンかどうかは判らなかった。当時の TV はオーディオ的にはちゃちだったから、というのもある。オープニングとエンディングのタイトル曲が私の期待を満たしたが、この2曲はアルバム全体の中では異色ではある。
件の CM が何の CM だったのかは憶えてない。ロケットのローンチの絵だった気もするけど記憶の捏造かも知れない。
もうひとつ、同時期に TV で視て印象に残ってるものとして、長谷川集平を取材したドキュメンタリー番組がある。絵本作家を何人か取り上げた中の1人だった。他には谷内こうたがいた気がする。
長谷川がバンド仲間と2人でドンカマに合わせてギターを弾くシーンがあった。琉球音階で即興してた。ギターの、過剰なエフェクトによる音色づくりが、Magical Power Mako を思い出させた。