ミー子

ぉぁああおうぅぅ

名盤

"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" については私自身、「いうほど名盤か?」という思いが、初めて聴いた時からあったし、今も本当にはピンと来てない。

ただ、もし 'Strawberry Fields Forever' を外されてなかったら「名盤」が紛れないものになってた、とはどうしても思ってしまう。

1966年11月、レノンが新曲 'Strawberry Fields Forever' を持ち込む。これで新作アルバムの「サイケ路線」が決まり、レコーディング・セッションが始まる。

本来なら、この曲こそが "Sgt. Pepper's" の世界の中心になるはずだった。

レコード会社の上層部が強力なシングル曲を要求して来たために、'SFF' はそちらに回され、アルバムからは外された。当時の慣習ではシングル曲をアルバムに含めないことになってたので。

 

実際には "Sgt Pepper's" を XTC よりも先に知ってたんだけど、

「革新は、その影響が大きいほどスタンダードになるので、最初にその革新を行った者の功績に気付きこれを評価するには、勉強が必要だし、知識としてだけでなく実感としてピンと来るには、タイミングなり偶然の経緯なりが必要」

ということをいいたかったのです。

 

好きということでいえば私は "The Beatles"(ホワイト・アルバム)なんだけど、「レノン曲の出来が良い」から好きなんであって、そしてこの点は "Sgt. Pepper's" についてもそう。

ことに 'Being for the Benefit of Mr. Kite!'。つまり私はこのアルバムをプログレの一環として聴いて来た。

 

名盤とされてるけど良さが解らない、というと私の場合まずもって King Crimson "In The Court Of The Crimson King" と Led Zeppelin "Ⅳ"。この2枚にはわたし的共通点がある。人気曲がA面ラストに置かれ、私がその曲を嫌いなこと。

どちらの曲も、外枠としての楽節ありきで形を整えその中に閉じている。その帰結として、徒に長い。展開が、本当に音楽的であるよりは、何か文学的な発想から来てると見える。

 

'Mr. Kite!' はA面ラストだ。じゃあこのアルバム「私の好きな盤」認定していいんじゃないか?

Zep でいちばん好きな "Houses of the Holy" のA面ラストが 'The Crunge' なのを思い併せると、法則として普遍性あるぞ。

 

"Magical Mystery Tour" を私は実家の日本盤 LP で聴いたので、「'Strawberry Fields Forever' と 'I Am the Walrus' が入ってる凄いアルバム」という認識になった。あと 'Blue Jay Way' と。

このアルバムは、1967年の時点では、イギリスオリジナル盤は TV 映画のサントラ6曲のみを収めた2枚組 EP という仕様だった。つまり 'SFF' は入ってない。

アメリカ編集盤は、これを(曲順を変えて)A面、シングル既発曲5曲をB面に収めた LP の形でリリースされた。日本盤もこの収録曲、曲順。

 

King Crimson で私が好きなのは "Starless and Bible Black" なんだけど、これも「'The Great Deceiver' と 'The Night Watch' と 'Fracture' が入ってるから」だしなあ。

 

もし 'Strawberry Fields Forever' を含めて "Sgt. Pepper's" が作られてたら、どんな風になってたんだろう? 単純に、現行の曲順のどこかに 'SFF' が挿入される、わけじゃないよね?

この曲を中心に据えるという前提が、全体に影響した筈。

 

'SFF' を入れる代わりにどれか1曲省かねばならないとしたら、どの曲?

'Within You Without You' に当初戸惑った、というのは何も私だけじゃなくて、ある代の早稲田ビートルマニア会長さんですら

「これの代わりに 'SFF' だったらどんな凄いアルバムになってたことか、と思ったこともあった」

とおっしゃるのを目撃した。あくまで「ごくお若い頃にそういうこともおありだった」という話。

'Within You Without You' には戸惑って、'Blue Jay Way' は大好き、とはどういうことなのか?

前者ではインド音楽そのものになりきろうとしてて、もちろん無理で、後者ではそこを割り切ってロックとして処理してるから潔い、のかな??

「憧れという名の簒奪」もあり得るし、論ずるにも微妙で、私は逃げたくなる。

で、省く1曲は、'She's Leaving Home'*1、かなあ…

 

最近では、"Revolver" こそ名盤、という論があるのかもだけど、それはまた別の話。

 

関連記事:

*1:King Crimson 'Matte Kudasai' の

She waits in the air

のメロは、'She's Leaving Home' の最後の

She's leaving home

のメロに聴こえる。