ミー子

ぉぁああおうぅぅ

乙なもの

プログレ聴き始めの頃、まず求めるのは、なるべく本格的にプログレなもの、なるべく大掛かりなもの、なるべく普通のロックじゃないもの、と必定なる。

いっぽうで、基本を既存のロックに置きながら、かつそれを異化してみせるようなもの、の魅力にも気付き始める。

私が Todd Rundgren 'Black and White' にプログレ欲を満たされたについては、私のプログレ聴き始めが乃ちロックの聴き始めだった、という事情もあるにはある。プログレ固有の要素じゃないのに、それにプログレで初めて出会ったばっかりに、それをもプログレ性を保証する要素としてカウントしてしまう、という事態が起きる。

曲に感動し、その理由をたずねる時、何でもかんでもプログレの手柄に帰してしまう。つまりある種の認知の歪みがあった。

 

その後 Henry Cow を経て、この曲に戻って来てみると、もうこの曲のどこをかつての私がプログレ認定してたのかが判らなくなっていた。耳が極限まで先鋭化してしまってて、わずかでも既存の要素を嗅ぎつけると退嬰、無効、と断じてしまう。つまりこれも認知の歪み、そのさっきのケースとは逆方向への振り切れだった。

 

今の私が中庸であるかどうかは自己判定出来ないけど、たしかにこの曲の、ヴァース開始でのギターの、Em 上での cis → h → cis → d の動きだけでも普通のロックじゃないし、就中、リード・ギター・パートというか、レゾナンスが効いてハイが丸っこい音色と、過剰なエフェクトと、トレモロアームを交えた奏法によるギターが、メロであるよりも音階を逸脱して効果音的、「シンセの代用」的で、最初にこの曲に出会った時の私の「プログレ認定」のまずもっての理由だった*1、と、事柄として思い出すし、当時の感覚を反芻できる。その程度には、感覚がバランスを取り戻してる。

ただ、当時は、そのギター・パートが殊更に前景化して、プログレという印象が強くなってたみたい。

 

で、そういう、先鋭に振り切れてないけどプログレ、な例を、最近のものに求めると、まず思い浮かぶのは Onze H30 'Parjure' だったりする、ってこれ2007年もう16年前なのか? 引き算合ってるか?

*1:あと、1'25" のコーラスの入り方ね!