↑の2つの動画は、編集の手順が共通してる。
どちらも、青がまさった印象だけど、じつは「調整」>「色合い」の値を「+100」すなわち赤側に振り切ってる。
というかこれは「彩度」と「色合い」の合わせ技。
1つ目の動画でいうと、オリジナルは全体にほぼ青成分だけで出来た絵だった。なかでアンテナの金属が反射する光だけが白かった。
(編集前の動画を削除してしまった。比較のために残しておくべきだった。)
編集の手順として、まず「彩度」を最大の「+100」にする。青が過剰に強くなる。次に「色合い」を「+100」にする(=赤側に振り切る)と、青成分が編集前の水準にまで弱まると同時に、白い反射の光から赤が抽出されて来る。これを数回繰り返す。
編集で、明るさの「コントラスト」を大きくすることは、1枚のフレームの中で同時に隣り合う明と暗についてだけではなくて、明るさの時間的変化の落差を大きくすることでもあるのだな。暗いものが徐々に明るくなるクレシェンドを極端なものにする。
「彩度」を「-100」にしてる。もし文字を読めてしまわなければ、モノクロの時代劇のワンシーンに見える。
そういえば同じ現場で以前こういうことがあった:
「光と影の形」の動きを撮るつもりで、文字が入ってるせいで「物」の動きになってしまった pic.twitter.com/TpXsMpIkJF
— 新海智子 (@coccyx_T) 2023年4月20日
「コントラスト」を「-100」にしてる。普段は像をくっきりさせるためにコントラストを大きくするのだけど、この場合は逆。被写体の光とその周囲の闇との差が大きくて、被写体の構造が白く潰れてしまうのを補正。
肉眼での印象が「公共の建物の廊下を、冷たい光が満たす、というかゼリーが満たすみたいになったのを、外から覗き見ると strange light めく(かつこの場合は仰ぎ見てるので天井しか見えなくてより謎めく)」だったので、それに近付けるため。
Brian Eno 'Strange Light'、"Music For Films"(1978年)所収。
Eno と Fred Frith によるアレンジ。ギターは Frith。トランペットは Rhett Davies。