私が John Bonham のドラムを好きになったきっかけはものすごく具体的で、'Achilles Last Stand' の 2'31" 目のフィルイン。
もともと「パワフルで重い」というイメージがあったんだけど、これを聴いて、それと同時に「ビートが細かい」人、というイメージになった。
「パワフルな場面と繊細な場面とがある」のではなくて、パワフルである「と同時に」ビートのレゾリューションが細かい。パワフルが、細かさモードを、パワフルのまま突っ切ることのかっこよさ。
「いつ」そのアーティストを好きになったかを、ピンポイントで指摘できる例ってある。
最もインパクトあるドラマーは Robert Wyatt である、と悟ったのは、'Marchides' の 0'37" のフィルインを聴いた時だった。
フロアタムの突然の最強打。こういう瞬発力の「かっこよさ」が「ユーモア」と紙一重であると思い知ったのもこの時。
Genesis 'Back In NYC' では、ドラムが、それまで(漫然と聴いてると)8分で呑気にやってた(ように聴こえる)のが、1'06" 目のフィルインをきっかけに突然16分で刻み始めて、「おーっ」ってなった。
この箇所が、私が Phil Collins のドラムを殊更意識して聴くようになったきっかけだった。パッと聴き8分でやってるあいだも、ドラマーの中では16分なり24分なりでカウントされてるのだ、と気付いて、ドラマー一般の聴き方が変わった。